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駅でタクシーを降りてからも、ぼんやりと立ち尽くしてしまう。納得したはずなのに、この街にまだ敦史が居ると思うと、気持ちはざわついて、すぐに電車に乗る気になれなかった。
フと駐車場が目に入るーーそこは3年前、必死にストラップを探した場所だ。
ゆっくりそこへ歩いていくと、コンクリートが敷き詰められ、コイン駐車場になっていた。
ぼんやりと、案内板に目をやる――すると、下の方にビニール包装されたチラシのようなものが貼り付けられていた。
『落し物のキーホルダーあります 家主』
「!」
チラシを剥ぎ取り、周囲を見回して、真新しい時計店を見つけ、走っていく。
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