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フイに、目が合った陽介さんにジッと見つめられる。
「今日会った時から思ったんだけど、加世子ちゃん何かいいことあったの?」
「え?」
「何か、いい顔してるからさ」
「ハハ」
微笑んだまま、手元のカクテルを見つめる。陽介さんにはかなわない。
「――敦史に、会えたんです」
「――」
それから、敦史が帰ってきていた経緯から、最後、ホームで見送ったまでを話した。
陽介さんは空いたグラスをすかさず、新しいお酒と交換しながら、黙って聞いてくれた。
「恋したい気持ちが高まっていたからかな……敦史に会って、いま、一目惚れした気分なんです」
私も、色んな味のお酒を飲んで、ほろ酔い気分で浮れていた。陽介さんは、その時手にしていたバーボンのグラスを一気にあけた。
「3ヶ月間、男見る目養わせたつもりだったけど、
無駄だったな――」
「ーー」
「酷いことされたの、忘れてないよね?」
「……」
「今、女と住んでるんだろ? 加世子ちゃんは過去の女なの、目さましな」
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