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陽介さんが私の腰に手を回し、一緒にホテルの外へ出ると、タクシーを呼んだ。
「一緒に乗ったら帰せなくなりそうだから止めておくよ」
こんな風に男の人に抱き寄せられたのが初めてで、私は身を固くしたままや、促されるようにタクシーに乗った。
「隣町までーー」
そう言って陽介さんは運転手さんに5千円札を渡した。
「いいから」
戸惑う私をドアの上に手を掛け、覗き込む。
「就活で上京する時は、必ず連絡しろよ」
「……はい」
陽介さんは最後に微笑むと
「お願いします」
と、運転手さんに言って、ドアを閉めた。
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