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中学生の頃から
「将来の夢はアパレル関係で、スタイリストになれたら嬉しい」
と話していた美咲のセンスは抜群で、コートにあった茶色のロングブーツも合わせて、予算半分でまとめてくれた。
「美咲、絶対スタイリストになりなよ! ならなきゃ、勿体ないよ!」
「ハハハ、ありがとっ」
帰り道の途中で、背の高い洒落た感じの男の人が立ち止まってこちらを見ていた。
「あれ……美咲?」
「健ちゃーん!」
美咲が健ちゃんと呼んだその人は、笑顔でやってきた。
「帰ってきてたんだー?」
「うん、昨日ね。ちょうど美咲に連絡しようと思ってたんだぜ」
「またまた~」
「ホントだって。前話した仕事の件でさ」
「あ~ね~…」
言葉尻が小さくなり困った顔の美咲が私を見る。
「加世、こちら田神健二くん。地元はここなんだけど今は東京でカメラマンしてるの」
「どうも~、カメラマンて言ってもまだまだ見習いだけどね」
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