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助けを求める、叫びにも思える声。
でも誰か人が来たら分かるだろうし、船に動物が乗るなんて滅多にないし…気のせいか?
『……っ、誰かっ…そこにいないか!』
また、聞こえた。今度ははっきり聞こえた。
船にいないってことは…。
「まさか……」
と思った俺は、船から身を乗りだし、澄んだ水を見下ろした。水の音が忙しなく続いている。
そこには………。
『だ…誰か、誰か私を引き上げろ!』
……なんとそこには、黒くて羽根のはえた生き物が、浮いては沈みながら溺れていた。いやぁ、世の中物騒になったもんだな。
冗談はさておき…。
どうしよう。助けるべきなんだろうか。
そう考える前に、すでに俺は助ける方法を考え始めていた。
何故かはわからない。ただ、助けなきゃいけない気がした。見捨てては駄目だ、と何かが命令していた。
何処かで救いたい、と強く思っていたのかもしれない。
無意識に手を伸ばした。
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