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『む………、しばし隠れながら飛行していた末だ。ところで少年、名はなんという?』
あ、話反らした。…まぁいいか。少年なんて呼ばれて嬉しいもんか。この世界中に少年が何万人いるのやら……。
「一回しか言わないからな。俺の名は……」
その先の言葉は続くことはなく、そのまま止まってしまった。
今気づいて良かった。ちょっと雑音で人の声がすると思ったけど、意外と気付くの早かったな。
「……っと、ちょっとゴメン。ついて来て」
『む!?首を引っ張るな無礼者!』
じゃあどこ掴むんだよ。
とりあえず脇にドラゴンを抱えこんで、船体に入り込んだ。無闇に触ったら、鱗が突き刺さりそうなんだもん。
それにしてもあいつら、ここまで探してきたのか。懲りないよなぁ。
視線の向こうには、銀に光る鎧を纏った兵士が数人。リーダー的人物がため息をついて、命令するかのように指示しているみたいだ。やがて兵士達は駆け足で街の方向へ去っていった。
「………やれやれ」
『アレは城の者みたいだが、追われているのか?』
「いいや、門限は日が沈むまでだから、まだ大丈夫だと思うけど」
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