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ドラゴンは何を驚いたのか、目を丸くした。
そういやこいつ、目が金色だ。ここら辺だと珍しいな。
『お前、城の者か?』
「…そうだけど?」
『ということは……お前が〈アレン〉王子か?』
「………え?」
俺、こいつと初対面だよな。なんで名前知ってるんだ?
『“ネフィール国王アトラスの一人息子、自らの争いは好まない。そのくせ人一倍正義感の強い王子”だと、風の噂で聞いた。王子ならもっと上品に振る舞っているものだろうに。父親が悲しむぞ。いっそ、アトラス王が哀れだな』
悪かったな、王子らしくなくて。
だいたい、誰が言ったんだよそれ。
俺、そういうの嫌いなんだよな。「少しは王家の者らしい態度でいろ」ってよく言われるけど、自分は自分らしくいたいし、自分を飾りたくないだけだから。それだけなんだけど、ほっといてはくれないよな。
『まぁ、それが悪いとは言わない。それは“自分”が見えているからかもしれないな』
その戸惑いのない言葉を聞いて、胸が熱くなった気がした。嬉しいのか照れてるのか、よくわからなかった。
気恥ずかしかったから、話を反らそうと話題を変えた。
「…お前の名前、まだ聞いてないけど」
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