†第2話†

3/4
前へ
/37ページ
次へ
 ドラゴンは何を驚いたのか、目を丸くした。  そういやこいつ、目が金色だ。ここら辺だと珍しいな。 『お前、城の者か?』 「…そうだけど?」 『ということは……お前が〈アレン〉王子か?』 「………え?」  俺、こいつと初対面だよな。なんで名前知ってるんだ? 『“ネフィール国王アトラスの一人息子、自らの争いは好まない。そのくせ人一倍正義感の強い王子”だと、風の噂で聞いた。王子ならもっと上品に振る舞っているものだろうに。父親が悲しむぞ。いっそ、アトラス王が哀れだな』 悪かったな、王子らしくなくて。 だいたい、誰が言ったんだよそれ。  俺、そういうの嫌いなんだよな。「少しは王家の者らしい態度でいろ」ってよく言われるけど、自分は自分らしくいたいし、自分を飾りたくないだけだから。それだけなんだけど、ほっといてはくれないよな。 『まぁ、それが悪いとは言わない。それは“自分”が見えているからかもしれないな』  その戸惑いのない言葉を聞いて、胸が熱くなった気がした。嬉しいのか照れてるのか、よくわからなかった。  気恥ずかしかったから、話を反らそうと話題を変えた。 「…お前の名前、まだ聞いてないけど」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加