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「優はいっつもそう!」
「お前は昔からああだ。全然進歩しないよな」
「だって優大好きだもん!」
はいはい、と適当にあしらう。最後の段を降りて、ダイニングに向かおうと一歩踏み出すと、ばったりポニーテールの女の子と鉢合わせした。
「はよ」
「はよ、じゃないわよ。遅いんだけど…」
レンズの奥の瞳が、嫌な視線を投げてくる。なんとなく、メガネを取ってやった。速攻腹にいい感じの蹴りが入って、膝から崩れ落ちる。
「ぐはっ…」
「目見えなくなるからやめて。何回も言ってるじゃない」
空中でそれをキャッチして、事もなげに掛ける。そして、じとっとした目線で見下される。
「見えないのに…ピンポイントで蹴り入れられるんスね…」
「勘」
きっぱりと、さも当然と言った様子で言う。だんっ、となにかが目の前に立った。
「わたしの優をいじめないで!」
玲奈……なんでか全く感動しない。
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