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(助けて・・・・・・誰か!!)
その場に倒れこみ、ただこの道を通る誰かに助けてもらう以外方法は無かった。
しかし普段なら年寄りが通るはずの道であったのにこの日に限って誰一人いない。
(なんで・・・・・・)
頭の痛みが極限に達していた。脳が壊死し始めているためか、徐々に心拍数が低下しているのがよくわかった。
(イヤだ・・・・・・死にたく・・・・・・ない)
そして遂に意識を無くしてしまい、目の前が真っ暗になった。
一筋の光も無い完全な闇、そして無の世界。自分は今どのような状態でいるのか全くわからない。
しかし、幸か不幸か、意識は何故かしっかりとしている。
(俺、死んだんだよな・・・・・・確か死んだら河渡るんだよな)
体は見えないが自分が放心状態であることは明確にわかった。
元々すこし妄想癖があったので死んだら河を渡ってあの世行き、そういつもイメージしていた。
しかし現実は異なっていた。眼前に広がるのは果てしない無の空間である。
(一生このまま・・・・・・か)
そう落胆していた時、背後にふと何かを感じた。
視界を後ろに向けると仄かで、しかし暖かい光が微かに差し込んでいる。
(光・・・・・・何なんだ)
その光が何物なのかは理解出来なかった。だが何故か見えない体はその光に向かっているようであった。
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