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あなたはもうきっと、覚えてないかも知れない。
離れ離れになるときに私と交わした約束を。
あなたがくれた桜の花びらを。
「大人になった時 助けに来るから 桜が咲く前の晩 “アノ場所”で待ってる」
歩きながら少女は思う。
『誰も居ない夜の街は、私を残して皆どこかに行ってしまったように静かだ…』
少女は幼い頃に“誰か”と交わした約束を、今日まで忘れずに信じ続けた。
「明日が来るのが怖い…」
そう言って泣く少女を抱きしめ「僕が居るよ」と微笑む彼の顔が浮かび、また歩く速度を速める。
少女は固く誓った。
―私を傷つけた家族も、助けてくれなかったこの街も、何もかも…今夜別れを告げるの…あなたと二人で…―
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