1.東京

12/12
278人が本棚に入れています
本棚に追加
/370ページ
 色白の肌を大胆に露にしたドレスを身につけた美しい百合絵が、陽介の肩に腕を置く。 「お連れさんに、いっぱい触られちゃったわ。いやらしいところまで」 「すまない……」 「キレイにしてくれるんでしょ? 今晩」  陽介は笑んで、タバコを廊下の灰皿に落とした。 暗黙の了解を得た百合絵は、陽介の携帯に目をやる。 「――で? 電話の相手はどんな子なの?」 「知らなくていいよ。変に嫉妬されても困る」 「フフフ、そう――私も特別な誰かを作っていいのかしら?」 「勿論。何の束縛もないだろ? 俺たちの間に」 「そうね」  百合絵は小さく笑うと、陽介が連れてきた取引先の客の待つ席へと戻っていった。
/370ページ

最初のコメントを投稿しよう!