22.エピローグ

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 波の音が心地よく聞こえるロッジ風の店の片隅。  6歳と4歳の2人の男の子がおもちゃを取り合い、小さい方の男の子が大声を上げて泣き出した。 「ねぇ、止めなさい。どうしたの?」  奥から加世子がでてきた。 「連が取ろうとするからさぁ!」 「お兄ちゃんばっかりズルイんだもん!」  加世子は小さくため息を吐いて、2人の前に来て座った。 「じゃあ、コレ、連に貸してあげる」  そう言って、スーパーボールを弟に渡す。 「わーい」  無邪気に遊び始めた弟を横目に、兄の契(ケイ)が目に涙を溜めた。 「ママは、僕と連、どっちが好きなの?」 「契……」  遊んでいた連も、すかさずやってくる。 「――どっちが好き?」 「えぇー……」  加世子が困って2人を見る。 「1番に大好きなほう!」 「1番大好きなの!」
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