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波の音が心地よく聞こえるロッジ風の店の片隅。
6歳と4歳の2人の男の子がおもちゃを取り合い、小さい方の男の子が大声を上げて泣き出した。
「ねぇ、止めなさい。どうしたの?」
奥から加世子がでてきた。
「連が取ろうとするからさぁ!」
「お兄ちゃんばっかりズルイんだもん!」
加世子は小さくため息を吐いて、2人の前に来て座った。
「じゃあ、コレ、連に貸してあげる」
そう言って、スーパーボールを弟に渡す。
「わーい」
無邪気に遊び始めた弟を横目に、兄の契(ケイ)が目に涙を溜めた。
「ママは、僕と連、どっちが好きなの?」
「契……」
遊んでいた連も、すかさずやってくる。
「――どっちが好き?」
「えぇー……」
加世子が困って2人を見る。
「1番に大好きなほう!」
「1番大好きなの!」
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