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抱きしめたい
真由子は真剣な顔をして座っていた
『私、今日子供おろしてきたの』
まさかの言葉に俺は正直耳を疑った
『妊娠してたのか?なんでいわなかったんだよ!』
『言ってもしかたないし…私、あたると結婚するつもりなかったから』
反論できなかった…でも妊娠を聞いてたら、気持ちは違ってたかもしれない
『私、結婚したい人がいるの。あなたみたいに不誠実な人じゃない。それなりに地位もあるし、お金もあるわ、幸せになれると思うの…だから別れて』
うん…そう言うしかなかった。晴れ晴れとした真由子の顔をみると
『もうここにもこないし、電話もしない。かけてきても無駄よ、明日携帯変えるから…じゃあね…さよなら』
どこかで聞いた台詞だ…
ああ…香住か
電話してこないで
ため息がでた…子供おろす程俺が嫌だったんだ
情けなかった。追い詰めた俺が許せなかった
堕胎させるなんて、俺はサイテーな男だ
真由子は苦しんでたはずなのに見抜けなかった
人の事サイテーとか言う前に自分の事反省しろだ
真由子の残り香が妙に心地よくて、窓を開けれなかった
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