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カゴの中で小猫が鳴く。片手にはゲージやら餌やら、トイレをさげて、やっとマンションについた
カゴからだすと、元気よく遊びだす猫
ゲージを組み立て、トイレを取り付けた
餌をガツガツ食うコイツが可愛かった
オスだというので名前を『ナツオ』とつけた。漢字で書いたら夏男
あまりセンスない名前だけど、気にはいってもらえたようだ
『ナツオ』と呼ぶと返事する
真由子は猫アレルギーだったから飼えなかった。これも別れた特典だと思いこめばいい
そうやって男と女ってのはお互いを忘れていくもんなんだ…
不意に携帯が鳴った
『もしもし…音羽だけど…』
『あれ?よく電話番号わかったね』
『部署のみんなの番号は入れてるから。猫、可愛い?名前つけた?』
香住は少し無邪気に聞いてきた
『可愛いよ、餌もよく食べるしよく遊ぶ。名前はナツオにした』
『可愛い名前ね、あのさ…いつかはその子飼おうと思ってたの。藤臣君に先越されたわね。可愛がってあげて。電話ごめんなさい』
『音羽さん!あの…たまにみにきたらいいよ…俺かまわないから』
『いいの?』
『うん…いいよ。きっとナツオも音羽さんの顔覚えてるし…喜ぶと思う』
『ありがとう』
俺…何言ってんだ?自分の部屋に大嫌いな女誘うなんて
でも電話の声のトーンはすごく柔らかくて、いつものきつさは全然なかった
そうだ…あの時の電話してたときのような感じ
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