津藤くんと不幸な高二の始まり

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俺の妹に対するさながらシスコンまがいの独白はさておき……え、いやいや、俺は妹が好きではないから。断じてそんな事は思わないから。 そうだな、妹が俺のプライベートを覗く事が嫌だし。 妹に付け込むスキがあれば乗じるじてあれこれと難癖をつけてつっかかるし。 たとえ妹がコーラを間違って買っちゃって気付かずにちょっと飲んでいらないと兄に渡してきたペットボトルに間接キスの要素があっても俺は即決で一気飲みだし。 黒の下着だろうがちょっと大人なベビードールだろうが可愛くキメてネグリジェだろうが最終的に妹の裸だろうが見ても何も思わない。むしろ、デブったなぁーとかデカくなったなぁーとか、いや今晩はベビードールだろうとか。 だから。 だから俺と妹は、普通に家族で、普通に兄妹で、普通に嫌いで、普通に大好きだ。 親が近くにいない育ち方をしたから、妹への愛情は少しばかり沢山あるかもしれないんだけれど。 俺は家族を、妹を守りたい。 だから俺は決心する。 名残惜しむ様な無表情で焼け跡を眺めている妹を、突然、後ろから、ドーンと、まぁ軽く、突き飛ばし、 「今日はとりあえず嬉野のとこ泊めて貰いなさい」 と言う。 植木に突っ込んだ妹に。 元気づけるハズが裏目にでちゃった。てへ。 ……自己嫌悪。 ともかくそれは置いといて、ガサガサと音をたてて出てきてそのまま怒りのポーカーフェースを向け、殺意をも含む妹の眼光を、いささか心許ないが手で遮り、続けて言う。 「お前の先輩で俺の後輩なあいつなら実に紳士的な態度と熱い歓迎の意を示してくれるだろうし、何より、泊める事を快諾してくれるだろうしな。腐ってるけど」 遠くを見つめて言う。 思い出すと絡みたくないし会いたくない。 嫌いじゃないけど。 むしろ嬉野超越好きだけど。 簡単に家族超えちゃったよ! 兄の馬鹿な思案にふける隙をつき、すかさず妹がジャブを打ってきた。 「(キモイ)兄さん(刑務所)行きますよね?ていうか(通報―)来―」 あはは、何の事やらさっぱりだ~。 キレる妹の言葉を最後まで聞かないうちに俺は走り出した。 嬉野への連絡と。 俺の最初からフルスロットルの変態的なキャラ設定の危惧とをしながら。
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