2085人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
男の人はウソ~とか言いながら前に回り込む。
そしてナンバーを見た男の人は驚いた顔。
戻って来ると謝るのかと思いきや……
「地元が一緒でビックリした」
なんてことを言う。
さすがにそれには私もビックリして、お弁当に落としていた視線を上げた。
こんな観光地で同じ地元の人に会うことは、きっと珍しい。
ましてや、さらに町とかなら尚更。
「…あれ?神月、琴葉…?」
「え?なんで私の名前……」
「お~、久しぶり~。つか、懐かしい、俺中学の同級」
……ウソだ!
見知らぬ土地で知り合いに会うなんて、確率何%!?
イヤ、それよりも…
「ごめん、誰?」
中学の同級と言われても、思い出せない私の脳ミソ。
仕事関係は完璧覚えるけど、プライベートとなるとどうしても覚える気がないらしく。
首を傾げて相手をジッと見るけれど、なんかどっかで見たことあるよーな、程度しかわからない。
「ぅわぁ、悲しい…中学の時は仲良い方だったと思うのに」
思うだけでしょ~。
覚えてないってことは、そんなに仲良くなかったんじゃないの?
もう、めんどくさい。
「名乗れ」
ある意味、脅しに近いかもね、今の言い方。
「わかってくれると思ったのに~」
「アキ、そんなとこでナンパしてんな」
最初のコメントを投稿しよう!