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「あらためてこんにちは。
えっと…お元気ですか?
もうけっこう老けたんじゃない?
頭も寂しくなってない??
シワは?
アハハ………
まあ、変わってなかったら一番嬉しいな。」
「大丈夫、変わってないよ」
すると彼女は、ゆっくりと起き上がり、酸素のマスクを取り外した。
「もうあなたに出て来る言葉は…
ありがとう……しか…、ありません。
こんな私を好きになってくれた事とか、こんな弱い私を最後まで励ましてくれたこととか……
優聖を産むことも、賛成してくれたのは、あなただけだった…。
本当に、本当にありがとう。
短い間だったけど、幸せだったよ?
でも、さっきも言ったけど…
今の私に残ったのは、優聖と、あなたと、後悔だけ…。
後悔ってゆうのは、お母さんとして、そして奥さんとして何もできなかったこと。
あなたの好きな肉じゃがとか、あなたのお弁当…一度も作れなかった。
ごめんね…。」
「もういいから…」
「ゴホ……
あの子にも、お母さんらしいこと、何もできなかったの…。
だからね、
新しいお母さんを作ってあげて下さい。
そして、幸せになって下さい。
最後のわがままです。
私はあなたの重りになりたくない。
あなたはあなたで新しい人生を歩んでほしい。
あの子にも、お母さんの愛情を教えてほしいの。
一生独りでいるつもり?!
そんなの、私が許さないからね!
……とっとと新しい奥さんを見つけて、結婚してよ……。
空から祝福するから。
私は思い出で構わない。
遠い思い出でいいから…、だから……ね?
それだけかな?
本当に、ありがとうございました。
短いけれど、誰よりも幸せな人生、そして素敵な旦那様とかわいい息子を授かった
あなたの 元 奥さん。
歩より……」
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