思い

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顔もしらないし、 話したこともない。 母さんの手料理も食べたこともないし、 笑い合ったこともない。 いつも家にいるのは父さんだった。 いつもテーブルに並ぶのは、 お世辞でもおいしいとは言えない父さんの手料理だった。 もう12歳にもなって、 母さん母さんと言うのは恥ずかしい。 だけど、 時々思うんだ。 僕がいなければ、 僕が母さんのお腹に宿らなければ、 僕が生まれなければ、 僕が存在しなければ……… 母さんは今でも父さんの隣で笑ってたんじゃないかなって。
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