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その人は、ぐったりとした様子で横になっている。
鼻にはチューブみたいなのをつけていて、ただ聞こえるのはスーッ スーッ と苦しそうな息と、ピッ ピッ とドラマとかで聞いたことのある音だった。
父さんは大きな手を肩に置いて、小さな声で囁く。
「お母さんだよ。」
お母さん……?
この人が?
そんな質問がのどの奥に引っ掛かる。
言葉にならないモノが込み上げた。
「…こんにちは…」
か細い声がする。
その声は今にも折れそうで……
ガラスのような声だった。
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