第二章  その男「同志」〓〓

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 男は、にらみつけるようにして、ぼくを見ている。  ドギマギさせられた。 「エスエフの集まりに行くなどと言って、まさか隠れ『阪神ファン』の集会なんかに参加するつもりじゃあるまいね?」 「ぶ、侮辱しないでください」  カチンときた『勢い』で言った。 「SFファンと『阪神ファン』が同じなんて、それこそデタラメですよ。ぼくは『生っ粋』の『横浜ファン』です!」 「エスエフに恨みはないが、阪神にはある」  客は、カウンターの上の布巾とコップを手に取った。 「ちょっとよごすよ」  そうママのことわってから、コップに布巾をかけると、それをぼくの『足下』において言った。 「踏んでみろ」  ぼくは、 「?」  という表情で、ママのほうを見た。  ママは、ニッコリして、 「いいから、踏んでおやりなさい」  と、言った。  ぼくは「訳のわからぬまま」コップを壊さないように、それでもかなりの力で、それを踏んだ。 「おお!同志!」  男は突然、大ゲサな仕草で、ぼくの両手をとった。
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