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男は、にらみつけるようにして、ぼくを見ている。
ドギマギさせられた。
「エスエフの集まりに行くなどと言って、まさか隠れ『阪神ファン』の集会なんかに参加するつもりじゃあるまいね?」
「ぶ、侮辱しないでください」
カチンときた『勢い』で言った。
「SFファンと『阪神ファン』が同じなんて、それこそデタラメですよ。ぼくは『生っ粋』の『横浜ファン』です!」
「エスエフに恨みはないが、阪神にはある」
客は、カウンターの上の布巾とコップを手に取った。
「ちょっとよごすよ」
そうママのことわってから、コップに布巾をかけると、それをぼくの『足下』において言った。
「踏んでみろ」
ぼくは、
「?」
という表情で、ママのほうを見た。
ママは、ニッコリして、
「いいから、踏んでおやりなさい」
と、言った。
ぼくは「訳のわからぬまま」コップを壊さないように、それでもかなりの力で、それを踏んだ。
「おお!同志!」
男は突然、大ゲサな仕草で、ぼくの両手をとった。
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