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「残念ですね」
と、思わず、その男に声をかけた。
「『残念ですね』だって」
言いながら、男が「こちら」を向いた。
大きく「かぶり」を振って、続けた。
「残念なんて、そんな『ヤワ』な言葉じゃ、言い表せないよ!」
ぼくは、「ギョッ😢」とした。
男の痩せてとがった顔には、あちらにもこちらにも「傷跡」がある。
その顔を興奮でひきつらせている😡。
年齢(とし)は、50の半ばくらいだろうか?
「やくざ」には見えなかったが、「妙なやつ」に声をかけてしまったと、ちょっと「後悔」した。
「あいつらは、いったい何だ」
客は、試合終了後も騒ぎ続ける「阪神ファン」を映すテレビを指さした。
「ひどいヤツらだ。社会の迷惑、エイズ並だ」
はきすてるように言った。
口をとがらせた表情は、割と「愛敬(あいきよう)」がある。
ぼくは少し「ほっ」として、
「ティーズでしょう。AじゃなくTの複数形」
と、つまらない「ジョーク」を言ってみた。
「正確ね。さすがに『塾』の先生。でも、そういう学問的なことを言うと、嫌われるわ」
ママが「へん」に「おふくろ」ぶって、トンチンカンな窘(たしな)め方をしてから客に、
「お兄さん。いいこというわ」
と、うなずいてみせた。
「タイガースのファンは、常軌を逸しているわ。
荒川、江戸川沿いに『万里の長城』を築いて、『チバラギ族』『ダサイ族』の侵入を食い止めて欲しいって、県や都に陳情(ちんじょう)してるってのに。。。。
『長城』が出来たって、これじゃあ、蛮風を防げないわ。
箱根に『お関所』と『税関』も設(もう)けてもらって、厳しく取り締まってもらえるようにしなくちゃだめね」
「それくらいじゃダメだ!」
男が大声で叫んだ。
「『チバラギ族』『ダサイ族』は、蛮族といえど、横浜・東京への『憧(あこが)れ』を持っている。
暴れるのは『コンプレックス』の裏返しといってもよい。
いわば、『熟蕃(じゅくばん)』だ。
し、しかし」
客は「ブルッ」と体をふるわせ、周囲を見回して声を低めた。
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