第一章  奇妙な男😡

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「困ったな」  ぼくは、本当に「困惑」して、目をしばたいた。  近々、実は「関西」に旅行にいく予定にしていたからだ。 「関西に近く旅行するんです。『字音群(※3)』という集まりのオフ会が、関西の方であるんです」 「何?その『ジオングン』って、『ショーグン』様の親戚じゃないでしょうね?」  ママは、 「燃えよ!暴れん坊ショーグン」  という「時代劇」のファンなのである。 「多分、無関係だと思います。はいったばかりでよくわからないんで、今度、よく訊(き)いてみます」 「オフ会というと、インターネットで知り合った連中だな」  男が言った。 「困ったものだ。どこかの国のように『インターネット情報』を、何かのカタチで『プロテクト』すべきだ」 「で、関西のドコに集まるの?」  ママが、不安そうな声で訊いた。 「ええ。西宮や大坂じゃないから安心だと思います。京都なんです」 「キ、キヨート!」  客とママが異口同音に叫んだ。 「と、とんでもない。おやめなさい」  ママが怯(おび)えた声を出した。 「勤王の残党が、鞍馬山にこもって市内に出没するらしいわよ。  この間も、所司代(※4)に爆弾がしかけられた事件があったって、訊いたわ。  関東の人間なんて、つかまったら有無をいわさずズドンだって」   
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