1章

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いつからだろうか? 自分がこんなにも世間に対して興味を失ったのは……。 ふと視線を下に下ろすと数字やら記号やらが書かれた本が置いてある。 それを見て今は数学の授業の時間だと思いだした。 そして前を向き黒板の上にある時計を眺める。 『後30分……』 長いなと誰ともなく呟くと、窓から外の景色を鑑賞し始めた。 澄み渡る空に、光を反射し美しく輝く青海。 そこに一隻の船。 貨物船であろうか? その船の上には大量のコンテナが置いてあった。 中身は電子機器の部品であろうか? まぁ自分にはわかった所で仕方がないが……。 そして船の上で昼寝をする中年の男。 時折側に置いてある酒瓶に手を伸ばし、躊躇なくラッパ飲み 。 酒の味など飲んだこともないからわからないが、それは実に美味しそうに感じた。 『てか仕事はいいのかよ』 そのあまりに自由な態度につい笑い声を上げてしまった。 「高坂?高坂千!授業中に何笑ってる?」
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