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人と自然の合作。
素直に令士は感動を覚えた。
が、それも長く続かなかった。
「ありゃ?」
「ん? どうした?」
見ると前方の木の枝が道を遮るように垂れて伸びてきていた。
まぁこれも『自然は人間の思い通りにはならない』ことを教えてくれていると思えば、風情がある。
――と思ったのは令士だけだったようだ。
「……邪魔ね」
「は?」
「ちょっと、これ持ってて」
千夏は自分のバッグを令士へ投げて渡すと、通路を防ぐ枝に向かって走り出した。
まさか――
「おんだりゃぁぁぁぁぁぁああああ!!」
何かを思い出させる飛び蹴り。
ああそうか、あの時もこんな感じで遮る扉を吹っ飛ばしたのか。
結構な太さの枝を飛び蹴りでへし折ると、何事もなかったかのように千夏は戻ってきた。
そして渡したバッグを受け取ると平然とした顔で、
「もうすぐで着くわよ」
「その前に飛び蹴りの説明だろ――ってまさかお前、ここはそうやって作った自前じゃないだろうな? 昔の農道を塞ぐ形で伸びた枝をそうやって作った」
よく見ると不自然に折れた枝も見受けられる。
令士の問いに、千夏は、
「もうすぐで着くわよ」
思いっきりシカトした。
「テメェ、さっきまでの俺の感動を返しやがれ!! 何が自然と人間による合作だ、思いっきり力業じゃねぇかよ」
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