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まずやることはコミュニティーの名前を決めること、らしいんだけど…正直…コミュニティーって何なのかよく分からない。
「何でもいいの?」
「お前がオーナーだろ」
「じゃあ『リク』」
「却下。自分の名前のコミュニティーとか意味分からないぞ」
「じゃあ朔夜さんが決めてよ」
結局決定権が彼にあるのなら、私がいくらあげたって時間の無駄。
私は無駄なことはあまりしたくない。誰だってそうだろうけど…別に面倒って訳じゃないわよ?地道で地味な作業とか案外好きだし、派手に何かやらかすよりはコツコツ積み上げるタイプ…だと思ってる。
「お前…名前も決められずにオーナーになるつもりか」
呆れたような溜め息にカチンときた。
「『リク』でいいって言ってるのに否定したのは朔夜さんでしょ!大体、私はオーナーになりたくてなったわけじゃ…ッ」
そこまで言いかけて慌てて私は口を噤んだ。手のひらで押さえつけても出てしまった言葉は戻らない。
「そうか…」
彼はそれきり何も言わなかった私を怒鳴るわけでも責めるわけでもなく…せめて何か言ってくれれば私も言い返せるのに。
「朔夜さ…」
「じゃあ何でここにいる?さっさと帰れ…俺はお前の遊びに付き合ってる暇はないんだ」
「…っ」
彼の言っていることは正しいのに、どうしてこうも腹が立つのだろう。
きっと彼と私は合わないんだ。
彼のような研ぎ澄まされた美貌と冷たい性格は…可愛くない女である私には似合わない。
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