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『リクってさ、女と言うよりは友達みたいでさ…』
最近別れた彼氏に言われたセリフ…自分の心変わりを可愛くない私のせいにした最低な男。
「…ちっ、がう…」
最低なのは私だ。
むしろこんな私のパートナーに選ばれた朔夜さんは可哀想な人なんだ。
「ごめんなさい…帰ります」
もう止めよう。始める前から思った。
無駄なことはしない…もう彼にとって無駄な時間を過ごさせてしまったが。
「『アーク』」
「…へ?」
顔を上げれば朔夜さんの顔が涙で霞んで見えなかった。
「『契約の箱』…Ark…箱庭って意味もあるけどな」
「?」
「コミュニティーの名前。それでいいだろ?はい、決定」
「ちょ…朔夜さん!?」
意味が分からなくてとりあえず顔を見ようと涙を袖口で拭ったら…。
「帰すつもりはない…お前はこの『アーク』のオーナーだからな」
「は?」
涙の霞が晴れた視界に広がる美貌。しかしその口元には相変わらず意地の悪そうな笑みが浮かんでいた。
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