90人が本棚に入れています
本棚に追加
真名は目前の光景が信じられないでいた
突然何処からか現れて、自分の窮地を救い、目にも留まらぬスピードで鬼族二匹をあしらい
今は手に持った棒と自らの手足を振るい、凄まじい勢いで妖怪達を還している
それだけならば、この麻帆良学園都市の中でも、上位の者ならなしえるだろう
だが、それは気や魔力などを用いて身体能力を強化したり、強力な魔法を唱えて一気に殲滅するなどしなければいけない
本来人間の妖怪の身体能力には生まれ持っての大差があるのだから
「だりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃっ!!!!!」
「な、なんやこいつ!?化け物かいな!?―――うごっ!?」
「だ…誰か奴を止め―――ごばぁっ!?」
しかし、目の前で縦横無尽に駆け回る彼は違う
彼女・龍宮真名は自らに魔眼を宿している
その魔眼は普通では見えないモノを見透かし、幾度となく彼女の仕事の手助けを行っていた
その魔眼が、彼の身体に潜む膨大な気の量を鮮明に捉えていた
この学園都市に来る以前は戦場を渡り歩いてきた彼女でも初めて目にする程の量である
確かに、人の身にあまるほどのそれを用いれば、これほど戦闘力などたやすいであろう
しかし同時に彼女の魔眼は今も目の前の状況を彼女自身に伝えていた
気や魔力を一切用いていないという現実を
最初のコメントを投稿しよう!