90人が本棚に入れています
本棚に追加
麻帆良学園都市、関東でも有数の敷地面積を誇り、初等部から大学までようする地域である
中でも一際目立つのは学園都市の中央に位置する天を貫かん程の巨大な樹木、通称【世界樹】である
現在の時刻は既に深夜、治安が余程良いのか、夜遊び等をする若者も見られず、辺りは寂寥と静まり返っている
普段ならば、そのまま新たな一日が始まるのを待つだけなのだが、今日だけは違った
突如世界樹がほのかに光りだしたのである
幸いにもその光は強いものでもなく淡いものなのだが、その光は止まることなかった
そして、その根本に光が集まりだした
その光は徐々に何かを形作り、その姿を現した
「―――わわわっ!」
その何かは素っ頓狂な声をあげ、地面に倒れ込んだ
「いちちちっ、一体何だってんだ」
尻餅をついた腰を払い、世界樹から現れた何か、孫悟空は立ち上がった
全く見たことのない景色を視界に収め、悟空は物珍しげに辺りを見渡す
「へぇ、此処が神様の言ってた異なる世界っちゅうやつかぁ、へっくし!」
キョロキョロと所在無さげに視線を移していたが、冷たい風が悟空の身を包み、その身体を冷やす
「おかしいな、さっきまで朝だったんだけどな」
時間のズレに違和感も覚えるも、「ま、いっか!」と疑問を捨て去った
「よっし、じゃあ早速修行でも始めっかなぁ――――ん?」
両手を頭の後ろで組んだ悟空がその場を後にしようとした直後、複数の気が現れるのを感じた
最初のコメントを投稿しよう!