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迫り来る烏天狗の槍や太刀を横に転がり込むことで避けるも、続いて放たれる後衛からの矢が飛来する
「―――ぐっ!?」
2発までは拳銃の銃身を盾にし弾くが、やはり身体がいうことを聞かず、最後の一つが真名の右肩に深々と突き刺さった
肩に走る激痛により真名の動きが止まる
その好機を狙い、真名が顔を上げた時には既に一人の烏天狗が太刀を振り上げていた
「死ねぇい!!」
振り下ろされる凶刃、その動きがスローモーションのようにゆっくりと感じる
「くっ、ここまでか」
もはや、その凶刃から逃れる術は無し
諦めからか、彼女の瞼が閉じられ、その頭上に刃が――――
「―――てりゃあぁぁぁっ!!!!」
上方から発せられる気合いの篭った掛け声と共に、重量物が弾き飛ばされるような音が響き渡る
不可解な状況に思わず目を開ける彼女の視界に広がったのは山吹色に大きく神の一文字
それが人の背中だと分かったのは直ぐであった
四方八方に飛び出した特徴的な髪型、服越しでも分かる逞しい身体
その手には赤い棒を油断無く構え、その男・孫悟空は真名の目の前に現れた
筋斗雲に乗り、複数の気を感じた場所へと辿りついた悟空が見たのは今にも殺されてしまいそうな女の姿だった
それを見た悟空は一目散に筋斗雲から飛び降り、女の目の前にいた烏天狗を如意棒で弾き飛ばした
ちらりと横目で女を見れば唖然としながら悟空を見つめていた
それに構わず、如意棒をぐるりと一回転させ、前方の妖怪達を睨む
その睨みを受けて、前線の妖怪達は次々と後ずさる
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