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友人が放った台詞に違和感を感じた小夜は、美也子を見た。彼女は、正面で蠱惑的に微笑んだままだ。
「初めて貴女に会った時から惹かれたわ。汚れなき心に美しい声……私が守ってあげなきゃって思ったの」
「……なにを言ってるの?美也子ちゃん…」
小夜は、美也子を困惑気味に見つめている。
「愛してるわ、小夜」
美也子は、小夜を抱きしめたが、友人の豹変が怖かったからか、小夜は、彼女を突き飛ばしてしまう。
美也子は、衝撃を受けたらしく表情が歪む。
「どうして?」
「……」
小夜は、答えない。恐怖に満ちた表情を美也子に向けるだけだった。それは、さっきまで、信頼しきった友人を見る目ではなく、不審者を見るような目にも見えた。
少なくとも、美也子には、そう見えたらしく、目を見開いた。
「いや、嫌っ!!そんな目で見ないで!!小夜……」
美也子は、ポケットから小型のナイフを取り出し、それを瞬時に小夜に向けたのだった。
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