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「その、私……地味ですし、恋愛とかには縁が無くて…」
「人は外見じゃないですよ。在り来たりな台詞ですが……私は、そう思ってますよ?桑原さん」
平然とした態度で、そんな台詞を言う相良を見て、柴田も力強く頷いた。
小夜は、照れたのか、恥ずかしくなったのか、真っ赤になりうつむく。
相良は、三枚目の手紙を見た。
〝6月23日
貴女は、友人の心ない台詞に随分と傷付いていましたね。
美しいのは、外見のみで中身は、酷く醜い女……貴女を傷つけ、涙を流させた……あの女を許さない。
私のナイチンゲール……直接、慰められない自分が不甲斐ない……涙を拭えない私は、なんて役立たずなんだ。代わりに貴女を傷付けた人物に制裁を与えましょう〟
かなり物騒になりつつある文章を読み、柴田が焦りの表情を見せた。
「ちょ……穏やかな内容じゃないですよ!制裁って……ご友人は、無事なのですか」
「落ち着け、柴田……今は被害はないのだろう……あれば警察が動いている」
相良は、冷静に助手をたしなめ、手紙を読んでいる。
「友人に忠告はしましたか?」
「はい……一応は……けど、信じてくれなくて…」
小夜は、悲しげな表情をしながら言った。
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