第一話 「ストーカー」

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「美也子ちゃん、大丈夫?」 一方で、小夜は、リビングで友人の手当をしながら尋ねる。 幸いにも、怪我は酷くなく、腕を刃物で切られただけであった友人は、青ざめていたが落ち着いていた。 「大丈夫よ。それより……何で、ストーカーにあってたのを口外したの?なにされるか分からないのに」 小夜とは対照的に、化粧やファッションにも気を使う、大人びた女性である美也子は、同じ文学部で合唱部に在籍する友人だ。 小夜にとって、頼りになる一番の友人だ。 「怖かったから……」 「私に相談したら良かったのに。何で、言ってくれなかったの?私が頼りないの?」 「違うの!美也子ちゃんを巻き込みたくなかったの。いつも迷惑ばかりかけてたから」 小夜は、申し訳ないといいたげにうなだれた。 入学時から仲が良く、自分を気に掛けてくれる友人に心配をかけたくないと思ったのだ。 美也子は怒る事もなく、微笑んだ。 「優しいのね。だから、私は、貴女が好きなのよ……ナイチンゲール」 「……?」
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