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「美也子ちゃん、大丈夫?」
一方で、小夜は、リビングで友人の手当をしながら尋ねる。
幸いにも、怪我は酷くなく、腕を刃物で切られただけであった友人は、青ざめていたが落ち着いていた。
「大丈夫よ。それより……何で、ストーカーにあってたのを口外したの?なにされるか分からないのに」
小夜とは対照的に、化粧やファッションにも気を使う、大人びた女性である美也子は、同じ文学部で合唱部に在籍する友人だ。
小夜にとって、頼りになる一番の友人だ。
「怖かったから……」
「私に相談したら良かったのに。何で、言ってくれなかったの?私が頼りないの?」
「違うの!美也子ちゃんを巻き込みたくなかったの。いつも迷惑ばかりかけてたから」
小夜は、申し訳ないといいたげにうなだれた。
入学時から仲が良く、自分を気に掛けてくれる友人に心配をかけたくないと思ったのだ。
美也子は怒る事もなく、微笑んだ。
「優しいのね。だから、私は、貴女が好きなのよ……ナイチンゲール」
「……?」
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