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「どうして?」
か細い声が聞こえた……小夜の肩が震える。
声がした方向を見ると、もう1人女性が居た。
状況から察するに、彼女が小夜の友人だろう……そして、彼女の手に握られているナイフには真新しい血が滴っていた。
「ストーカーは、君か。襲われて怪我をしたのも嘘だな」
相良が落ち着き払った表情で女性をみた。
続いて、彼女の手に巻かれた包帯を見る。
「その怪我は、手に持ってるナイフでつけたんだろう…」
相良の台詞にも、彼女は答えない。
「美也子ちゃん、どうして?」
「桑原さん、下がっていてください!危ないですよ」
小夜も信じられないと言いたげに美也子を見つめる。小夜を庇う様に柴田が彼女の前に出た。
美也子は、もはや正気を失った目を向けていた。
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