第一話 「ストーカー」

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「美也子さんが欲しい愛情は、君が向ける愛情とは違うんだ。分かるだろ?」 「……」 相良は、彼女にそう呟いたのだった。その後、警察に小夜を任せ、マンションを後にした相良と柴田は、事務所に戻ったのだった。 「まさか、彼女の友人……女性がストーカーだなんて…」 柴田は、まだ信じられないというような態度で口にする。 デスクで事件の事を記録する相良がパソコンを触りながら答えた。 「愛は、男女のみに生まれるとは限らないからな。桑原さんには、理解出来ないだろう……犯人の気持ちはな」 「そうですか……しかし、流石、先生です!見事な推理ですよしかも、武道すら習得しているなんて…」 納得した柴田が、尊敬の眼差しを相良に向けるが、彼女は、困った様な笑みを助手に向けた。 「あれは護身術だ。まあ、それは置いていて……ヒントをくれた人物のおかげさ。昔、友人に〝行き詰まった時は、違う方向から考えてみろ〟とアドバイスを貰ったのを思い出したんだよ。私の手柄と違うさ」 そう言いながら、相良は目を伏せた。 柴田は、そうなんですか、と言いにこやかに笑っている。
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