第二話 「恋人同士」

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「先生、お客様です」 柴田が室内に案内したのは、妙齢の女性だった。 黒く、艶やかな長い髪にビジネススーツを着た、細身の女性だ。 充分に美人と言える顔立ちだが、彼女の目や表情は、どこか違和感がある。 僅か数秒で、その違和感が彼女が笑っていないのに気付いた。 「貴女が所長さんなのかしら?」 毅然とした口調で女性は、確認をするような言葉を口にした。 「はい。所長兼探偵の相良綾女です。どうぞ、そちらにおかけ下さい」 綾女が椅子を勧めると、女性は、それに応じた。 そういった動作の1つにも、艶かしさがある。 「奥平雅よ。貴女に依頼があるの……探偵さん」 「はい。して、どのような依頼ですか?」 「…この人物についての調査よ」 奥平は、スーツの内ポケットから、一枚の写真を取り出し、テーブルに置いた。そこには、若い男性が写っている。
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