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「奥平さんは美人だけどクールだし、羽田さんはお人好しなイイ人止まりだから、上手くいかないんだよ」
「相性悪いんじゃないかな~。最近、羽田さん、奥平さんの話をしないし」
二人は、交互に語る。相良は、赤ワインを一口飲み、グラスをテーブルに置くと顎に手をあてた。
(互いに疎遠か……他の女性の影とかあるどうかも聞くかな)
そう考え、相良は、それを口にしたが、二人はキッパリとそれを否定した。
「羽田さんは、奥平さん一筋って感じだったし、他の女性を好きになるってありえないですよー。あんまり目立たないから、女性ウケしないし」
「見た目も仕事も人並みだもん。彼氏とかにはしたいって思わないかな」
随分な言われ方だな、と相良は思ったが、黙って続きを待つ。
「多分、自然消滅しちゃうかも……奥平さんから別れを切り出すか」
「奥平さんも、寂しいのかもね~。愛情を注がない恋人に嫌気がさしたのかも」
二人は、勝手な憶測を述べた。 それを聞きながら、相良は切れ長の目を細めた。
「愛情か…」
ポツリと呟いた声は、周囲の声と、店内を流れる音楽にかき消されたのだった。
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