第二話 「恋人同士」

14/16
前へ
/204ページ
次へ
「奥平さん。不躾な話を宜しいですか?」 「ええ、なにかしら?」 書類から目線を相良に移すと彼女は、カップを置き、了承した。 「羽田さんの気持ちを知るつもりはないのですか?」 「羽田さんの?」 「調査をしている中で、彼がまだ貴女を想っているかもという噂を耳にしましてね。貴女の話を聞きたいと思ったのですよ」 二人の間に、張りつめた空気が流れる。奥平は、形の整った眉が僅かに動いただけで、動揺は見られなかった。 「貴女のお仕事は、ただ調査をするだけでしょう?私や彼の気持ちは関係ないんじゃないかしら?」 「単に好奇心ですよ。気に障ったなら謝ります」 相良が申し訳ななさそうに謝る。奥平は、そんな態度の相良を見て、笑う。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

196人が本棚に入れています
本棚に追加