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「奥平さん。不躾な話を宜しいですか?」
「ええ、なにかしら?」
書類から目線を相良に移すと彼女は、カップを置き、了承した。
「羽田さんの気持ちを知るつもりはないのですか?」
「羽田さんの?」
「調査をしている中で、彼がまだ貴女を想っているかもという噂を耳にしましてね。貴女の話を聞きたいと思ったのですよ」
二人の間に、張りつめた空気が流れる。奥平は、形の整った眉が僅かに動いただけで、動揺は見られなかった。
「貴女のお仕事は、ただ調査をするだけでしょう?私や彼の気持ちは関係ないんじゃないかしら?」
「単に好奇心ですよ。気に障ったなら謝ります」
相良が申し訳ななさそうに謝る。奥平は、そんな態度の相良を見て、笑う。
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