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「よくご存知で」
「ふふ……おかしな人ね。もう少しだけ会話をしたいけど、私、これから仕事なの。さよなら……探偵さん」
奥平は、封筒をテーブルに置き、事務所を去っていった。1人残された相良は、奥平が残した台詞を思い出す。
『愛情が理解出来ない残酷な貴女より、ずっと私はマシよ』
切れ長の目を僅かに伏せ、相良は口元の笑みを消した。
「分かっているさ。私がそういう女であると……だからタチが悪いんだな」
静かな声で皮肉まじりに呟いたのだった。
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