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最初は、使い慣れないと思ったが、今では愛着すらある。
そう思い、ベッドから起き上がった。
「ふあ……。休みだというのに目覚ましをかけてしまったな」
栗色の髪を整え、相良はベッドから出ると、カーテンを開けた。 青空が広がり、暖かい日差しを感じた。
「神崎さんとの約束は夕方からだし、それまで……よし!前に録ったお笑い番組と映画を見て、時間を潰そう」
名案が閃いたと言うように、相良は表情を輝かせながら、寝室を後にした。
寝室を出る間際、タンスに置かれた写真に目をやる……家族写真や友人らと映った写真の中に、1つ、着崩したスーツに身を包んだ若い男性の写真がある。
顔立ちは悪くはなく、いい男にはいる部類の筈だが、どこか人を喰った様な雰囲気が漂う男性が笑っている。
相良は、それに向かって、微笑みを向けた。
いつも浮かべている不敵な微笑みをだ。
「お早う、伸二。いい朝だ」
彼女は、穏やかな声で挨拶をしたのだった。
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