第三話 「調査」

9/21
前へ
/204ページ
次へ
「圭吾さん。つか、ソイツら誰?」 青年の台詞だった。恭也の正面に座る青年は、恭也と同じ年頃で、黒髪に切れ長の目をした青年で、シンプルなスーツ姿だ。 なかなか格好よい青年だが、目付きが剃刀の様に鋭くて、近寄り難い雰囲気を纏っている。 「彼は、椎名くん……調査対象の弟さんです」 「椎名龍之介……好きに呼んでいいーぜ。ちなみに高二な」 青年は、ややぶっきらぼうに言った。 取りあえず、恭也らも挨拶を交わす事にした。 「西園しじま、九歳。しじまでいいよ」 口調と裏腹に、丁寧に頭を下げて挨拶を交わす…。 「相良恭也……高二です。えーっと、宜しく」 恭也が挨拶をすると、椎名の目は見開き、恭也を見つめた。 直ぐ様、柴田が彼に耳打ちした。 「綾女さんの?ふぅん」 そう言い、後は興味を無くしたのか、彼は、テーブルの料理を食べ出した。 「……柴田さん、何一つ理解出来ないんですが…」 「後で嫌でも出来ま……あ、来ました!調査対象が!」 柴田が小声で言いながら、入口付近を指差すと、三人は、目線をやる……恭也としじまは、危うく叫びそうになった。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

196人が本棚に入れています
本棚に追加