第三話 「調査」

10/21
前へ
/204ページ
次へ
鮮やかなターコイズ色をしたワンピースを着た相良と金髪の上品なスーツを着た青年が現れたからだ。 「綾女さんだ」 「調査って…」 混乱した二人を見て、椎名は口を開く。 「綾女さんと兄貴のデートの尾行だよ、オレら」 椎名が眠そうに欠伸をしながら言うと、恭也は唖然とした顔をする。しじまでさえ、ポカンとした表情をしている。 恭也は、気を取り直して、再度、綾女たちを見た。 金髪青年は、椎名の兄と言っていたが、余り似ていない。 しかし、長身で顔立ちも美形と言ってもいい……綾女も口さえ開かなければ、美女といえる為に、お似合いのカップルに見えた。 「姉貴に恋人かぁ……なんか、意外だ」 「遠いからよく見えないが……お似合いじゃないかな?紳士的だし、いい人っぽいし」 恭也としじまがそれぞれの感想を口にした。 だが、柴田だけが堅い表情だ。 料理を皿に取り分けていた椎名が、全く動じる事なく、喋りだす。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

196人が本棚に入れています
本棚に追加