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「そうそう、綾ちゃん……貴女にお仕事、持ってきたの」
吸っていた煙草を燻らせながら、神崎が言った。
「ちょっとした縁があってね、話をきいたら…貴女の役割みたいだから、お客あげるわ!」
「いいんですか?仲介なんて」
にこやかな笑みを崩さず、相良は、空っぽになった二つのマグカップにお代わりの紅茶を注ぎながら言った。
神崎は、艶っぽい笑みを浮かべると、相良の空いた手をそっと握る。
「報酬はねぇ、今度……ディナーでもどうかしら?お酒の美味しいイイお店があるの」
「……!!」
何も知らない人間が見れば、男性が美女を口説く様子にしか見えない。
相良は、切れ長の目をパチクリとさせる……滅多にこんな表情を浮かべない相良と今にも叫び出しそうな柴田がデスクから身を乗り出して成り行きを眺めている。
沈黙を破ったのは、探偵だった。
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