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数日後、神崎から相良宛てにメールが届いた。
依頼人が午後から、来るというやつと、神崎曰くデートの約束の日取りだった。
相良は、返事を返すと約束の時間まで、パソコン業務を続ける。
昼下がり……事務所にやってきたのは、二十歳ぐらいの学生風の女性だ。 肩まで届くぐらいの長さの真っ直ぐな黒髪に丸顔、フレームのない眼鏡をかけている。
模範的な優等生タイプで、目立つ風貌では無く、服装や顔立ちもどちらかと言えば、地味で垢抜けない印象だ。
「こんにちは、時間通りですね」
柴田が、柔らかい物腰で依頼人を迎えた。
彼女は、丁寧にお辞儀をする。
「あの、私……桑原小夜と言います。神崎さんから、此方に探偵さんが居ると聞いたんですが…」
透き通る様な綺麗な声が印象的だった。 デスクに座ったままの相良は、笑みを深め、椅子から立ち上がり、小夜に歩みよる。
「どうも、所長兼探偵の相良綾女です。彼方の男性は、秘書兼助手の柴田圭吾です」
紹介をされた柴田は、軽く会釈を交わす。
小夜もそれに応じた後、再び相良に向き直る。
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