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「しじまも旅行行ったら、変な土産をやるといいぜ。絶対、喜ぶからさ」
「うん。そうしてみるよ」
しじまは、三人分のジュースをキッチンから持ってきて、それぞれのに手渡す。
しじまは、自分の座っていた場所に座ると口を開いた。
「そうだ、恭也兄さん。綾女さんって刑事さんだったって?……昨日、聞いたんだ」
「ああ、警視庁に居たんだ。キャリア組ってヤツで……」
恭也は昔を思い出しながら語る。まだ姉を嫌っておらず、純粋に尊敬していた時期でもあった。
(男勝りなのは昔からだけど、今みたいに変に笑ってばかりじゃなかったし、何より格好良かった。自慢の姉貴だった……なのに、今は…)
何をしても平均的な恭也からすれば、何でも出来る姉は自慢だった。加えて、容姿も良かったから、友人や同級生からは、羨ましがられた……亡き父親の様に立派な刑事になり、ゆくゆくは自分も同じ道に進み、姉の役に立つと考えていたのだ。
「キャリア組かぁ。なんか……凄いな、格好いい」
しじまが更に驚きながら、ジュースを啜る。
隣に座る椎名は、神妙な表情で黙って聞いていた。
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