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…もしコイツと本気で友達になりたいと思うならば、彼女の本質を理解したうえで相当の努力をしなければならない。
……
根は、優しい奴なんだけどなぁ。
「─────何か言ったかしら?」
「ん?いや、別に?」
「…………そう」
疑いの眼差しを俺に向けたが、直ぐに視線を前に戻す。
………ホント
黙ってれば可愛いのに…勿体無い…
内心、そう思いながら
ふと気が付けば俺達は校門前まで進んでいた。
その頃には息切れも既に収まり、呼吸は正常に戻っている。
「──────」
なにかを忘れてるような気がするが…………まぁいいか。
俺は先程まで歩いていたあの坂道の方へ振り返る。
……今日も無事
朝の試練は乗り越える事が出来た。
しかし………俺は満足はしていない。俺はまだ、真の意味でこの試練を突破した訳ではないのだ…
故に、俺は誓う。
次こそは────…
「必ず、自転車のみでこの坂を制覇してやる……そして俺はなるんだ─────真の漢に!!」
「………はぁ。
何くだらない事言ってんのよ。
馬鹿な事考えてないで早く行くわよ」
「────っな!?」
魂の誓いを、くだらない扱いされた!?
しかも瑞希の奴、言うだけ言って先に行ってるし!?
「────ったく」
俺を置いて先に行く瑞希の後ろ姿を見つめ、軽く肩を竦める。
────最近になって
よく思うようになった事がある…
瑞希の奴、俺への接し方が以前よりキツくなってる気がするのだが……気のせい?
そんな疑問を心に抱きつつ…
瑞希よりやや遅れて、跡を追うように俺も歩き出した。
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