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昇降口に入り
下駄箱でシューズに履き替え、教室へ向かう。
「……………」
「……………」
隣には瑞希も居たが、校内に入ってからは一言も話していない。
俺も基本、無口な方なので特に話す事が無い限りは自分から喋らなかった。
互いに無言のまま、教室に到着。瑞希は別のクラスなので、ここで別れとなる。
「んじゃ瑞希。また後でな」
「──────」
聴こえてないのか、無視してるのか…
返事すらせず、スタスタと前に進んでいく瑞希。
「あー……」
廊下に残ってる人達の、訝しげな視線がイタい…
「………ってお前ら、解っててやってるだろ」
「─────あれ?バレた?」
場に居る皆に俺は発言し、その内の1人が代表して返事した。
「当たり前だ…少なくとも1年以上は付き合いのある学年だぞ?
俺と瑞希との関係知らない奴なんていねーだろ」
────遺憾ながら
この学校では俺と瑞希は、ちょっとした話題の的となっていた。
何せ話しかけても返事すらしない瑞希が、自分から話しかける数少ない人間の1人。
そのうえ幼馴染みという関係が、話題に一層拍車をかけてしまっていた。
………上記の点に関しては兄貴も同じな訳だが…
基本、瑞希は俺と行動する事が多いし、あっちは“別の意味”で話題の人だからなぁ。
「まーね。だからこそ皆、稲村達で楽しませてもらってるよ」
俺の肩をポンポンと叩き、にこにこ顔でそう言った。
その表情に、罪悪感なんてのはひとかけらも感じられない。
「人で楽しむな…」
そう言った俺だが
この一言も、もう何回言っただろうか…
皆、聞き入れてくれないので、内心ではもう諦めていた。
それから少し会話して、俺はソイツと別れ教室へと入った。
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