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今度の舞台も同じ校内。
連なる教室と、教室を繋ぐ1本の廊下。
そこに、最初の場面で俺の横を駆け抜けた人物と、もう1人────血を連想させる紅い槍を携えた、蒼き髪の男が、互いを見据え対峙していた。
『ようやく見つけたぜ────小僧』
掌に持つ槍を肩に乗せ、穏やかな口調で言葉を発する。しかしその口調とは裏腹に、相手を見据えるその眼には、優しさなんてのは一切無い。
遊びは終わりだ
もう絶対に逃がさない───…
明確な意志を殺気に乗せて相手に伝えてるのが、第3者である俺にも分かる。
『ヒッ────!?』
男が放つ殺気混じりのプレッシャー。ソレをまともに受けてる相手の表情には余裕など皆無
恐怖が肉体、精神、本能をも支配していく。
『───ったく、気が滅入るぜ。
仕方ないとはいえ、1度に2人の人間を殺すハメになるなんてな』
肩に乗せてた槍をヒュッ、と振り下ろし
一歩…また一歩、怯える獲物へ向かい前進する。
あぁ────そろそろ夢も終わるな。
………嫌と言う程、何度もこの場面を俺は視た。
故にその結末は既に知っている。知らなくたって、状況から考えればその後どうなるかぐらい容易く想像出来る。
───だからこそ、目を伏せた。
『ま、これも決まり事なんだ。
………運が悪かったと思って諦めてくれや』
───足音が止まる。
それは即ち、男が槍の届く範囲内に入ったという事だ。
『──────!!』
恐怖心が最高潮に達し、叫び声は最早声にすらなってない。
────出来るならば救けたい。最悪の結末を変えてやりたい。
「くっ……!」
だけど俺は行動しなかった。否、出来なかった。
この夢を視る度、俺は何度もアイツを救けようとした…
結末を変えれると思い、何度も動こうとした…
だが、無理だった…
救けたいと思う自分の意思とは裏腹に、足はおろか指1本すら動かす事が出来なかった…
今回もそうだ。身体がピクリとも動いてくれない。
この夢を造りだしてるのは俺なのに…
夢の世界でこの身体を形作ってるのは俺の筈なのに……
なのにこの夢(せかい)は
俺の意思を拒絶する───…
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