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「……………はっ!?」
意識の覚醒と同時
俺は勢いよく跳ね起きた。
「はぁ……はぁ……」
呼吸が荒い。心臓も激しく脈打っている。
右手で額を拭うと、掌には汗が付いていた。
にも関わらず、未だ額がすぅっと冷たく感じるのは、完全に汗が拭いきれてないからだろう。
それに加え、この身体の疲れ…
「また、いつもの夢を……視たっぽいな」
どんな夢だったかは────くそっ!コレもいつもと一緒か…
夢を視た、ってのは分かってるのに、肝心の内容がどんなのだったかが全く思い出せない…
「マジで…なんなんだよ…」
いつの頃からだろう…
回を重ねるごとに周期が短くなっていく、思い出す事の出来ない夢を…視るようになったのは…
ソレを視た後に身体を襲う、激しい運動をした時の疲労感……ソレと毎回、付き合わなきゃいけなくなったのは…
明らかに異常と感じた俺は、親友の親父のツテで紹介してもらった、とあるカウンセラーに相談したのだが…
結果は“様子見”。
相談の結果
やはり原因が俺の視た夢のせい、とまでは特定出来た。
ただ、どんな夢だったかを聞かれた際
思い出せないと答えた俺に、催眠療法等、あらゆる手段を用いてどうにか思い出させようとしてくれたが…その全てが失敗に終わっている。
お互い途方に暮れ
最終的には、出た症状が大量の発汗と疲労感だけなので、それ以上の症状が出ない限りは深刻に考える必要もないだろう。という事に。
………悪い言い方をすれば、放棄された訳だ。
勿論納得いく訳も無く────インターネット等の情報を頼りに、他に2~3件ほど、カウンセラーのもとを訪ねたりした。
しかし、結果は同じ…
自分でも色々調べたりしてるのだが、そういった知識はほぼ皆無な為、成果は芳しくない……
「はぁ…くそっ!」
ぼふっ!と、布団を叩く。
未だ解決法が見つからない状態………苛立ちは日々募るばかりだ。
────俺の身に
一体、なにが起きたっていうんだ────?
「知哉。起きてるか?」
─────勝手知ったる何とやら。
ノックもせず、一声掛けると同時にガチャ、と扉を開けると、我が物顔で部屋の中へ入ってきた。
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