プロローグ

6/13

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「……………はっ!?」 意識の覚醒と同時 俺は勢いよく跳ね起きた。 「はぁ……はぁ……」 呼吸が荒い。心臓も激しく脈打っている。 右手で額を拭うと、掌には汗が付いていた。 にも関わらず、未だ額がすぅっと冷たく感じるのは、完全に汗が拭いきれてないからだろう。 それに加え、この身体の疲れ… 「また、いつもの夢を……視たっぽいな」 どんな夢だったかは────くそっ!コレもいつもと一緒か… 夢を視た、ってのは分かってるのに、肝心の内容がどんなのだったかが全く思い出せない… 「マジで…なんなんだよ…」 いつの頃からだろう… 回を重ねるごとに周期が短くなっていく、思い出す事の出来ない夢を…視るようになったのは… ソレを視た後に身体を襲う、激しい運動をした時の疲労感……ソレと毎回、付き合わなきゃいけなくなったのは… 明らかに異常と感じた俺は、親友の親父のツテで紹介してもらった、とあるカウンセラーに相談したのだが… 結果は“様子見”。 相談の結果 やはり原因が俺の視た夢のせい、とまでは特定出来た。 ただ、どんな夢だったかを聞かれた際 思い出せないと答えた俺に、催眠療法等、あらゆる手段を用いてどうにか思い出させようとしてくれたが…その全てが失敗に終わっている。 お互い途方に暮れ 最終的には、出た症状が大量の発汗と疲労感だけなので、それ以上の症状が出ない限りは深刻に考える必要もないだろう。という事に。 ………悪い言い方をすれば、放棄された訳だ。 勿論納得いく訳も無く────インターネット等の情報を頼りに、他に2~3件ほど、カウンセラーのもとを訪ねたりした。 しかし、結果は同じ… 自分でも色々調べたりしてるのだが、そういった知識はほぼ皆無な為、成果は芳しくない…… 「はぁ…くそっ!」 ぼふっ!と、布団を叩く。 未だ解決法が見つからない状態………苛立ちは日々募るばかりだ。 ────俺の身に 一体、なにが起きたっていうんだ────? 「知哉。起きてるか?」 ─────勝手知ったる何とやら。 ノックもせず、一声掛けると同時にガチャ、と扉を開けると、我が物顔で部屋の中へ入ってきた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加