プロローグ

7/13

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「………… お前…また、視たのか?」 今の俺の状態を見るや、瞬時に状況を察したこの人物は俺の1つ上の兄貴。名前は[稲村 和哉] 家事全般その他諸々を人並み以上にこなせる兄貴は、両親不在であるこの家ではとても頼りになる兄貴だ。 性格も良く、男女問わず誰とでも気兼ね無く接する事が出来る為、俺達が通う学園では人気は高い。 俺も昔は兄貴に色々と世話になっていたのだが… このまま世話になりっぱなしだと将来、兄貴に物凄く依存する生活になってしまと、ある時に思い 個人的な問題、そして自分でも出来る事は極力、己の手で片付けようと決めた。 兄貴にもそう話をした。 「まぁ…ね。でも………何時もの事だし、大丈夫…」 「─────そう、か」 ────故に 俺が思い出せない夢のせいで苦しんでるのを、ある日知ってしまった兄貴が、「俺も解決する方法を探す」と言ってくれたのに対し、俺は「自分の事は自分で解決するから…」と申し出を拒否。 食い下がる兄貴だったが、最終的には兄貴は折れ… 『兄貴として、弟の心配ぐらいはさせろよな?』 ─────で、現在に至っている。 「……行けそうか?無理なら休むか?」 兄貴の問いかけ。 、俺が学校に行けそうかどうか。 この疲労感…下手をすれば指1本動かせなくなる場合もあり、そのせいで俺は何度か学園を休んだ事がある。 ソレを危惧しての問いだった。 「まぁ、前回より疲労感はマシな方だから……うん。問題ない」 今の体調を考慮し、大丈夫だろうと判断した上で俺はそう答えた。 「そうか」 答えを確認し薄く笑う兄貴。 俺に背を向けると、部屋の外へと歩き出す。 扉を開け、廊下へ出ようとした時、不意に立ち止まり顔だけをこっちに向けた。 「行くなら朝飯食べるだろ?」 「もちろん」 「なら先に汗を流してこい。後、窓を開けて換気しておく事だ。…………汗臭いぞ、この部屋」 「────っ!? う、うるせぇ!そのぐらい分かってるわぃ!」 最後に「分かってるならいい」と言い、兄貴は漸く部屋を出ていった。 「さ、最後のは余計なお世話だ…!」 ため息を付きながら布団から出る。 ……汗臭く感じたのは確かだったので、先に部屋の窓を全開にし タンスから着替えを取り出して俺は部屋を出た。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加