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「もー!なんでこんなに埃まみれなの!?」
はたきをかけながら文句を言っているのは、ここ神南署にある刑事課強行犯係(通称安積班)の紅一点、水野真帆。
鑑識課出身で、そのためか根拠や物証を重視している。
「仕方ないだろう…事件続きで掃除してなかったんだし…」
「ハンチョウ!それを言い訳にしないでください!」
ハンチョウとは刑事課強行犯係を仕切るこの男、安積剛志のことで、部下から親しみを込めてこう呼ばれている。
「…すまん」
「謝る暇があったら手動かしてくださいよ!」
「…あぁ…」
安積の机の上には今、大量の書類が乗っている。
もう不要になったものは捨てるなり資料室に保管するなりと分けようということである。
「えぇと…あ、これまだ使う…こっちはもういいか…」
そのとき、思い切りドアが開き、慌てて書類を押さえるも効果はなく、何枚かは床へと落ちていった。
「すいません遅れちゃって…いやー暑い暑い」
「須田…」
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